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端末金具の設計、製作及び取扱上のガイドライン

ローラチエンを吊り下げ装置に使用するときは、その接続部に使用する金具(端末金具)をこのガイドラインに沿って設計、製作してください。

1.一般的注意事項

!!危険!! チエン外リンク内幅(または内リンク外幅)と金具幅との寸法差及びピン径と金具穴との寸法差等が大き過ぎるとピンに大きな曲げ応力が作用しピン強度が著しく低下しますので金具設計時には注意してください。


!!危険!! 使用中金具穴の端部が磨耗したりダレが発生したりすると前項同様ピンの強度が大幅に低下しますので注意してください。定期的に点検し磨耗やダレが発生していれば金具を交換してください。

注 意
・錆や腐食は強度低下の大きな原因となりますので使用中は定期的にグリースを塗布するなどの防錆処理を充分行ってください。
・チエンに偏った荷重や横荷重、ねじり荷重が作用するとチエン強度が低下します。これを防止するために金具穴の水平度や金具の取付精度等に充分に注意してください。

2.端末金具の材質と熱処理

  @金具は熱処理(焼入焼もどし)を行って使用するのが一般的ですが、金具のサイズと材質の焼入性を吟味し充分な硬さが得られるような材質を使用してください。 

 i ) 一般的には強靭鋼(SCM435、SCM440)や中炭素鋼の中から必要な焼入性を確保できる材料を選定します。
推奨材質
S45C、SCM435、SCM440
 ii ) 金具は焼入を行った後焼戻し脆性域をさけた高温焼もどしを行い硬さはHRC30〜45程度にしてください。
 iii ) ねじ加工してある金具の場合は特にねじ部のおくれ破壊に対する感受性を低減するために硬さはHRC40を超えないようにしてください。
     なお、ねじ部の寸法はチエンの引張
強さ以上となるように設計してください。

  A金具に熱処理(焼入焼もどし)を行わずに使用するときは以下の点を特に注意してください。

i)使用中に金具穴の磨耗やダレが発生しやすいので、金具穴に硬いブシュを圧入してください。
 ブシュはローラチエン用ブシュが利用できます。
ii)熱処理を行ったものに比較し強度が低いので、設計する際には充分な強度が得られるよう寸法等特に注意をしてください。

3.その他

  @端末金具とチエンとの取り合い部分に、一般の継手リンクではなくピンを強化した特殊な金具(エンドリンク)を使用する方法もあります。

  A内リンク用の端末金具を使用するときは取付ピンに関して充分な強度と靭性を持たせるよう設計してください。
  

4.端末金具寸法例

    熱処理を施して使用する外リンク用の端末金具の例を以下に示します。   
  
    @取合い部の寸法 (図はブシュ圧入状態の例)

    

    A外リンク用ねじ付き端末金具 (アンカーボルト) の例


外リンク用ねじ付き端末金具寸法表
チエン番号 材質 硬さ(HRC)
60 9 17.5 21 6.1 M12 S45C 35〜40
80 12 22.3 28 8.1 M16 SCM435
100 15 26.8 35 9.7 M20
120 18 34.8 42 11.3 M22
140 21 36.4 49 12.9 M24
160 24 44.4 56 14.5 M30