蛭ヶ岳  (鬼ヶ岩より撮影)

                       


                          

山行No 078
山行日 1999年04月29日(木)〜04月30日
天候 29日 雨時々雪  30日 快晴
気温 29日 塔ノ岳3℃  30日 塔ノ岳12℃
日ノ出 04:52
日ノ入 18:25
最大標高差 973m (菩提峠700m→蛭ヶ岳1673m)
コースタイム 29日 345分  30日 260分
山で会った人 多数
メンバー

29日 30日
700m 菩提峠 5:40 1673m 蛭ヶ岳 6:50
↓ 60分 91分 ↓ 30分 45分
1140m 二ノ塔 7:11 7:20 1590m 棚沢ノ頭 7:35 7:50
↓ 15分 16分 ↓ 40分 58分
1205m 三ノ塔 7:36 7:50 1567m 丹沢山 8:48 9:02
↓ 25分 30分 ↓ 15分 20分
1136m 烏尾山 8:20 8:25 1504m 竜ヶ馬場 9:22 9:32
↓ 25分 21分 ↓ 35分 38分
1180m 行者岳 8:46 9:00 1491m 塔ノ岳 10:10 10:35
↓ 20分 32分 ↓ 15分 21分
1250m 書策小屋 9:32 9:42 1396m 木ノ又大日 10:56
↓ 20分 18分 ↓ 10分 13分
1340m 新大日 10:00 10:02 1340m 新大日 11:09 11:13
↓ 15分 15分 ↓ 10分 9分
1396m 木ノ又大日 10:17 10:27 1250m 書策小屋 11:22 12:00
↓ 25分 33分 ↓ 15分 22分
1491m 塔ノ岳 11:00 11:40 1180m 行者岳 12:22
↓ 40分 58分 ↓ 15分 19分
1504m 竜ヶ馬場 12:38 12:50 1136m 烏尾山 12:41 12:50
↓ 20分 35分 ↓ 30分 34分
1567m 丹沢山 13:25 13:38 1205m 三ノ塔 13:24 13:37
↓ 45分 88分 ↓ 15分 13分
1590m 棚沢ノ頭 15:06 15:10 1140m 二ノ塔 13:50 13:55
↓ 35分 70分 ↓ 30分 42分
1673m 蛭ヶ岳 16:20 700m 菩提峠 14:37

                       

東名高速道路秦野中井ICを降りたら秦野方面へ左折する。
そのまま道なりに秦野市街を進み、国道246号線への標識に従って進みます。
国道246号線に合流したら、ヤビツ峠への標識に従って左折します。
細い道ですが、バスも通るので慎重に運転しましょう。
登り着いたヤビツ峠にも駐車場がありますが、菩提峠へはこの先の富士見橋を左折します。


                    

菩提峠の駐車場(無料)
約20台駐車可
ヤビツ峠にも約30台分の駐車場があります。(無料)


                               

鶴巻温泉 鶴巻温泉会館
所在地:神奈川県秦野市鶴巻北3−1−1
TEL:0463−77−1339
駐車場:
営業時間:9時〜16時
入浴料:600円
泉質:ナトリウム・塩化物温泉
種類:大浴場
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出発
毎年ゴールデンウィークになると色々と雑用に追われてゆっくり山に行ける機会に恵まれなかったけど、今年はどうにか行けそうになってきた。そこで久しぶりに山小屋泊まりの山行にしようと計画し、日本百名山の丹沢に決定した。いつも下界から眺めていただけの存在がいよいよ現実となる。出発は富士見山荘付近の菩提峠から表尾根を登って丹沢最高峰の蛭ヶ岳を目指す。天気は寒冷前線が通過するので初日の天候が心配だ。

菩提峠〜烏尾山
雨が降る中、登山口となる菩提峠の駐車スペースに到着し、明日の天候回復を祈りつつ車の中で就寝。朝になっても一向に雨は止んでくれずゴアを着込んで登山を開始する。最初の目的地である二ノ岳までは登りの連続で、雨は降るし憂鬱になってきそうになるが気を奮い立たせて階段状の登山道を登って行く。暗い登山道を抜けてガレ場を登る切ると小さなピークの二ノ塔の頂上だ。周りは真っ白で何も見えず、一休みしたら三ノ塔を目指す。二ノ塔を下って登り返すと非難小屋が建つ広い山頂の三ノ塔に到着し、雨に濡られたので小屋の中へ入ってみる。中は雨風をしのげる快適な空間で、外のゴーッという音を聞いていると小屋から出たくなくなってしまうが、手袋の水を絞ったら次の目的地の烏尾山へ向かう。三ノ塔の急な斜面を下って鞍部のキレットを通過して登って行くと小屋とベンチが数個ある烏尾山の山頂だ。

烏尾山〜塔ノ岳
雨は相変わらずに風と供に吹き付けてくるので一休みしたら今度は行者岳を目指して烏尾山の斜面を下る。雨は徐々に上がり始めたのでケータイで自宅に電話をしてみると、雨は止んでいるとの事なのでこちらも雨が止んでくるかも知れない。風と雨と時々鳴る鈴の音だけを聞いて黙々と歩いていくと、登山道は段々と岩混じりになり始めて岩場のピークが行者岳の山頂だ。このピークからの下りが岩場となっているが、雨で足下や鎖が滑り易くて一度は足を滑らせてヒヤっとした。行者岳の鎖場を通過し、高度を上げていくと今回の山行で楽しみにしていた書策小屋に到着だ。だけど小屋は閉められて営業はしておらず、オヤジさんに会えずガッカリだ。書策小屋から急な登山道を登っていくと、休業中の新大日茶屋が建つ新大日のピークで、更に進んで木ノ又小屋を過ぎたら木ノ又大日のピークだ。一休みしたら今度は塔ノ岳を目指して進んで行く。小降りになった雨は段々と雪になり始めてしまった。手袋が濡れているので手がかじかんでくるし、正直言ってイヤになってきた。でも蛭ヶ岳まではこの辺りが中間なのでめげてはいられない。重い気分を引きずって一歩一歩登っていくと広い山頂の塔ノ岳に到着した。

塔ノ岳〜丹沢山
ガスが真っ白に覆って何も見えないが、雪混じりの雨が吹く中ベンチで食事にする。気温は3℃なので厳しい寒さではないが、気持ちが滅入るような寒さなので食事を済ましたら丹沢山を目指して行動を開始する。尊仏山荘の脇から階段状の登山道を下ってから今度は登りが始まる。登山道の脇には水芭蕉の芽がたくさん出ていて、花は咲いてはいないが少し心が和んでくる。樹林の中の日高を過ぎると背の低い笹が一面を覆う気持ちの良い竜ヶ馬場に到着だ。この辺りで雨も止んでくれてガスの切れ間から山々がチラッと見えるようになってきた。竜ヶ馬場からガスで白くなった樹林の中を進んでいくと一等三角点がある丹沢山の山頂に到着した。

丹沢山〜蛭ヶ岳
広くて小屋も建っているけど、名前の割にはパッとしない山頂で、周りは木々に遮られて何となく暗い感じがする。この山だけを目指して登って来たなら、きっとガッカリすることだろう。丹沢山の急な階段状の登山道を下っていくと、目の前には大菩薩の稜線のようなきれいな草原状の尾根が続いている見えてくる。キレットまで下ってから登り始めると遠目に見た印象よりも登りがきつくて息が上がってくる。笹の斜面を登っていくと非難小屋が建つ休憩所がある。そこで一休みして気合いを入れ直したら更に登って行き、不動ノ峰まで登り切って先へ進むと棚沢ノ頭に到着だ。蛭ヶ岳まであともう少しだ。棚沢ノ頭から少し進むと鬼ヶ岩ノ頭と呼ばれる岩場のピークに出る。ここから蛭ヶ岳の山頂が間近に見えるが、鬼ヶ岩から一旦急降下してから登るのが一目瞭然なので疲れがドッと出てくるようだ。だけど気合いを入れて鬼ヶ岩を下ったら蛭ヶ岳目指して登っていく。夕方4時も過ぎて日ノ入が気になり焦ってくるが、一歩一歩高度を上げて山頂へ向かって登っていくと、登山道に鹿が道を塞いでいるではないか。よく見ると1頭だけではなく、周りには何頭も草を食べているのが見える。写真を撮ろうと思ったけどカメラはザックの中だし、これだけ鹿がいれば明日にでも写真を撮ろうと思い直して、道に居座ている鹿を追い払って先へ進むとようやく蛭ヶ岳山荘に到着した。

蛭ヶ岳山荘にて
前回泊まった馬ノ背ヒュッテよりも小さいが、中から聞こえてくる笑い声に今日の登山の終了を実感した。小屋の中に入って手続きを済ましたらビールで乾杯をする。今日は定員40人のところ、30人で泊まるので布団は各自1組ずつ使えるそうで、前回の馬ノ背ヒュッテとは雲泥の差だ。着替えとパッキングを済ましたら外に出てみる。ガスが多いけど確実に天候は回復に向かっているようで、明日の山行が楽しみだ。小屋に戻り布団をかぶって休んでいると食事の時間となり、食堂で一列に並んでご飯を盛ったらカレーを入れてもらう。カレーは「銀座カリー」のレトルトで、これが一番旨いと小屋の人が言う。それに誰も文句を言わずに次々とご飯のお代わりをしては満足そうに食べていた。食事を済まして一息入れたら夜景を眺めに外へ出てみた。すっかりガスが晴れてきれいな夜景が小屋を取り巻き、山の上から始めて見る夜景に暫く見取れてしまった。小屋に戻るとする事も無いので早々に寝ることにした。明日の天気が楽しみだ。

翌朝 蛭ヶ岳山荘にて
朝4時半頃に目が覚めて窓の外を見てみると、富士山が薄闇の中に姿を現していた。カメラを持って外に出てみるとモルゲンロートに輝く富士山や南アルプスが雲一つない空に浮かび上がり、影富士ならぬ影蛭ヶ岳も大きく富士山へ向かって伸ばしている。横浜ランドマークの向こうに房総半島までもが見えて、ため息が出るような光景に他の人たちからも歓声があがる。小屋に戻って不味い納豆と少々のおかずの朝食を済まし、小屋の人に挨拶をしたら出発開始だ。

蛭ヶ岳〜丹沢山
今日のルートは往路と同じコースを逆に菩提峠へ向かって行くものだ。山頂付近にはあれだけいた鹿は1頭も姿が見えず、昨日写真を撮っておけば良かったとガッカリした。蛭ヶ岳を快調に下って霜柱を踏みながら登山道を鬼ヶ岩へ向かって進んでいく。岩場を鬼ヶ岩まで登って振り返ると、蛭ヶ岳の山頂の小さな小屋が見え、あんな所で寝ていたと思うと嬉しくなってくる。鬼ヶ岩から下って登り返すと棚沢ノ頭。また下って登り返すと不動ノ峰と、天気が良いので快調に進むことが出来る。そして樹林帯を抜けると正面は大きな丹沢山となり鞍部から急登が始まるが、周りの景色を楽しみながら一歩一歩高度を上げて行くと、丹沢山の山頂に到着だ。

丹沢山〜塔ノ岳
天気が良くても展望は得られず、丹沢の中でも地味な山頂だ。山頂から樹林帯を進んでいくと草原状に広がる竜ヶ馬場となり、きれいな三角錐をした大山が正面に見える。そして竜ヶ馬場から日高を通過して塔ノ岳に着くとたくさんの人が山頂で景色を楽しんでいた。昨日の天気が嘘のようにのんびりとした雰囲気が流れ、私もTシャツ一枚になって春の陽気を浴びた。山頂からは蛭ヶ岳やこれから向かう表尾根が一望できて、まさに登山日和となった。

塔ノ岳〜烏尾山
塔ノ岳から下ると木ノ又大日、更に進むと新大日となり、下に書策小屋や行者岳が見渡せる。新大日から階段状の急な登山道を下ると書策小屋となり、今日はここで昼食とする。書策小屋は相変わらず閉鎖しており、オヤジさんはどうしたのか心配になる。小屋の前のベンチで気持ち良い風を浴びながら簡単な食事を済ますと、今度は鎖場のある行者岳へ向かう。両側が切れ落ちた稜線を下って行者岳の鎖に取り付き、2つ目のピークが行者岳の山頂だ。この辺りまで来ると木々は新緑に染まりだし、山桜の花も咲いて春満開といったところだ。行者岳から下って登り返すと三角形の小屋が目立つ烏尾山の山頂に到着した。

烏尾山〜菩提峠

烏尾山の山頂のベンチでゴロ寝をしている人が何人もいて、昨日の雨とはまるで違う楽園が広がっていた。ここから三ノ塔が行く手を阻むかのように高くそびえて威圧し、「どうだここまで来て見ろ」と挑発してくる。気合いを入れて烏尾山を下ると三ノ塔を登り出す。階段状の登山道は足を上げるのがイヤになってくるが、流れ出す汗を拭って無心に三ノ塔の山頂を目指した。そしてどうにか急登を登り切ると広い山頂の三ノ塔に着き、非難小屋の横のベンチで一休み。下には小さな二ノ塔が見えて、あの山頂を下ると菩提峠となって山行が終了する。ここまでの道のりは長かったけど、あと少しで終わってしまうと何だか勿体ないような気もしてくる。三ノ塔から下ると今コース最後の登りとなり、小さなピークの二ノ塔に到着。昨日通った事が遠い昔のように思えてくる。そして最後に二ノ塔から富士見山荘まで一気の下りが始まる。これで山行が終了するので、兄と私は残っていた力を活用し、猛スピードで登山道を駆け下る。兄は何処にそんなパワーが残っていたのか不思議な位に鬼のように突き進む。そして往路の登りで90分も掛かったところを、40分で駆け下って菩提峠の駐車スペースまで戻った。これで全ての登山行程が何事もなく終了した。帰りは相模原のスーパー銭湯に寄って2日分の汚れを落として家路に就いた。

反省
今回は久しぶりの山小屋泊まりのコースを終えて達成感で一杯だ。表尾根はアップダウンの連続で標高差以上につらく感じられたけど、終わってみるとやり遂げた充実感は強く残る。初日は雨に塗られてイヤな思いもしたが、その分翌日の復路は快晴に恵まれて気持ちの良い山行ができた。腕が日に焼けてしまったというお釣りまで付いてしまったけど。憧れていた丹沢表尾根を登ることが出来て、これからの丹沢制覇計画に大きな足跡を残せた。蛭ヶ岳にはもう一度登って丹沢を足跡で埋め尽くしたい。

蛭ヶ岳からの展望写真
塔ノ岳からの展望写真