大蔵高丸
 (白岩ヶ丸付近より撮影)

                       


                          

山行No 023
山行日 1996年11月23日(土)
天候 晴れ後くもり
気温 湯ノ沢峠−2℃ 大谷ヶ丸2℃ 滝子山13℃ 
日ノ出 06:24
日ノ入 16:30
最大標高差 1350m (大蔵高丸1770mm→初狩駅420m)
コースタイム 320分
山で会った人 50人くらい
メンバー 単独行

1580m 湯ノ沢峠 6:20
↓ 30分 30分
1770m 大蔵高丸 6:50 7:20
↓ 30分 25分
1752m ハマイバ丸 7:45 8:00
↓ 50分 58分
1644m 大谷ヶ丸 8:58 9:17
↓ 60分 83分
1590m 滝子山 10:40 12:00
↓ 40分 33分
1336m 檜 平 12:33 12:40
↓ 40分 30分
1045m 分岐点 13:10
↓ 50分 57分
540m 藤沢子神社 14:07
↓ 20分 33分
420m 初狩駅 14:40

                       

中央自動車道勝沼ICを降りたら国道20号を大月方面へ。
1キロほど先の柏尾のT字路を道なりに右折し、笹子トンネルの手前の景徳院入口を左折する。
景徳院を過ぎ、日帰り温泉施設のやまと天目山温泉を過ぎたら右折し、林道へ入っていきます。
未舗装の林道の終点が湯ノ沢峠です。

木賊から始まる林道は、終点の湯ノ沢峠までダートコースとなっています。
でもそんなに荒れたダートではないので、慎重に進むば大丈夫です。


                    

湯ノ沢峠に
約10台駐車分の駐車スペース有り


                               

ぶどうの丘温泉 天空の湯
山梨県東山梨郡勝沼町菱山5093
TEL:0553−44−2111
駐車場:250台
営業時間:10時〜22時
入浴料:600円
泉質:アルカリ性単純温泉
種類:大浴場(圧注浴、気泡浴、寝湯、サウナ)、露天風呂
コメント:2000年3月にオープン。
オススメ度:


                            

出発
 いよいよ今回の山行は大菩薩連嶺縦走計画の最終行程となる湯ノ沢峠から初狩駅までのルートを行くことにする。当初このコースは(湯ノ沢峠〜大谷ヶ丸)、(大谷ヶ丸〜滝子山)、(滝子山〜初狩駅)と3回に分けて登る予定だったが、湯ノ沢峠まで車で送ってもらうことになったので、今回の山行にて制覇のチャンスとなった。少々行程が長めになるが、前回の行程(牛奥ノ雁ヶ腹摺山)を無難にクリア出来たので、初狩駅までどうにか行けるだろう。

湯ノ沢峠〜大蔵高丸
 4時頃八王子を出発して6時に出発地点となる湯ノ沢峠に到着し、登山の準備を始める。湯ノ沢峠の気温は−2℃で先週よりも寒くはないが、ドアも無い非難小屋に誰かが泊まっていて、寒そうに毛布にくるまっていた。まだ太陽が登っていない薄暗い6:20分に湯ノ沢峠を出発して、まず大蔵高丸を目指す。5分程登ったら所の見晴らしの良いカヤトの草原で御来光となり、雲の上に横たわる南アルプスがモルゲンロートに染まっているのが見え、登山意欲が一気に高まる。草原を抜けると細い急登の登山道が続き、喘ぎながら登って行くと大蔵高丸の山頂に到着した。

大蔵高丸〜ハマイバ丸
山頂に着いて驚いてしまった。、富士山がこんなに綺麗に見える所とは知らなかったからだ。そしてズラリと連なる南アルプスや八ヶ岳、遠くに白っぽく山が見えるがはっきり分からない。山頂にいた人が双眼鏡を貸してくれたので、その山を覗くと雪で真っ白になっていた乗鞍岳であった。双眼鏡で見る山々は実に荒々しく、迫力満点で、私も今度から双眼鏡を持って行こう。広い山頂の大蔵高丸を後にして今度はハマイバ丸を目指して進んでいく。富士山を正面に見ながら緩やかな道を気分良く歩いていくと静かで小さなピークのハマイバ丸に到着。三角点に腰を下ろして休憩をする。今日は15:00までに初狩駅に着けば良く、時間的余裕はたっぷりとあるので、のんびりした気分で休憩をしていると最近山に忘れていた何かを見つけたような気がした。

ハマイバ丸〜大谷ヶ丸
ハマイバ丸からは富士山を正面に見ながら箱庭みたいな所を下っていく。この下りは霜柱が溶けてすごく滑りやすくなっていて、何かに掴まっていないと直ぐ滑って転んでしまう。熊笹を掴みながら慎重に降りていったが、すっ転んでしまって毛糸の帽子まで泥が入るくらいドロドロになってしまった(誰も見ていなかったから良かった)。それから何度も転んで悪戦苦闘しながら天下石と呼ばれる大きな岩を過ぎて、米背負峠まで下ってきた。この峠から今度は急な登りとなり、3歩進んでは一息つくといった感じで急登を登り切って大谷ヶ丸の山頂に到着した(ちょっと疲れてきた)。山頂はハマイバ丸と良く似ているピークで、展望はあまり得られない。山頂に大きなザックがデポしてあり、結構重そうに見えたので、ちょっと担いでみようと思ったがやめて、山頂にある大きな岩の上で横になって休憩した。汗が冷えてきて少し寒くなったけど、空を見ながらのんびりとした気分に浸っていた。

大谷ヶ丸〜滝子山
さて次は最終目的地である滝子山だ。大谷ヶ丸山頂から滑りやすい道を急降下しながら降りていくが、この道が逆に登りだったら相当きつかっただろうと思う。やや道が緩やかになってくると、落ち葉などで登山道は不明瞭になり始めた。それにこの辺りは猟が許可されているので不安が倍増して自然とペースも早くなってくる(猟師さん僕を撃たないで!)。1時間弱歩いて、もうすぐ滝子山に着くかなと思っていた頃、遠くの正面に大きな山が見えてきた。たぶんあの山は笹子雁ヶ原摺山で、滝子山はあんなに遠いわけないと思いこもうとした。でも現実は避けては通れず、段々とその山は目の前に立ちはだかり、分岐点で確認すると滝子山だと決定的となって、しばらく脱力してしまった。こんなに疲れているのにこれからあんな山に登るのかと思うと正直言ってイヤになった。大菩薩縦走計画の最大の試練だと思って、意を決して登り始める。小さな神社を過ぎると道は急となり、空腹と疲労で頭がクラクラしてきた。あと少しで山頂だと自分を励ましつつ登って行き、やっと滝子山の山頂に到着することが出来た。

滝子山〜初狩駅
山頂にはたくさんの人がいて、人気のある山なんだと改めて認識した。狭い山頂にてスペースを確保して食事の用意を始める。今日は久々に飯盒でご飯を炊いて豪華な昼食となる筈だったけど、食べているすぐそばに人がいるので、落ち着いて食事が出来ない(しかも声がデカくてうるさい)。山頂からの展望は朝の天気が嘘のようにガスってしまい、富士山も見えなくなってしまった。晴れていれば展望が良さそうな山頂だけに残念だ。しばらく休んで疲労を回復させてから下山を開始する。山頂から登りじゃなくて本当に良かったと思うほどの急で長いみちのりを、一気に急降下してグングン高度を下げて行くと、檜平に到着。展望が良さそうなベンチで休憩してから、さっきよりは緩やかな道を下っていく。歩いても歩いても下りの連続で、膝もガクガクしてきたので久々にストックの登場だ。滑りやすい坂、岩がゴロゴロしている坂、急な坂、緩やかな坂と様々な坂で標高差1000mを下っていく。もうイヤになるほど下り、沢の音が聞こえてきてきたら下り坂も一段落して藤沢子神社脇の登山口に到着。ここから車道で初狩駅へ向かっていくと道ばたにたくさんの人が風景画を書いていたが、もうそんなことはどうでも良い。ヘトヘトに疲れ切ってやっと初狩駅に到着した。
 
下山後
今回の山行は大谷ヶ丸までは気分の良い山歩きだったけど、最後の滝子山が難関となってバテそうになった。原因は食事をしないで歩いた為のエネルギー不足だろう。今回は比較的に休憩を多く摂ったから、この程度で済んだかも知れないが、いつものペースで歩いていたら相当きつかっただろう。これから行程を組むときは休憩時間をいつもより多めに設定した方が良さそうだ。
今回で大菩薩縦走計画を制覇する事が出来た。初狩駅に着いた時は疲れていて感動どころじゃなかったけど、振り返ってみるとゴールまで色々なことがあった。湯ノ沢峠から黒岳に向かっている途中では、濃いガスの中で朝露にやられてビショ濡れになって難渋したこともあった。黒川鶏冠山に登った時は、柳沢峠までの国道歩きが長く辛かった。大菩薩嶺から柳沢峠へ行った時は、土砂崩れの跡があり自然の中で自分の無力さを思い知った。小金沢山に登ったときは熊笹で道を見失いそうになったり、躓いて痛い思いをした。そして今回は下り坂で何度も滑ってドロドロになったし、バテそうにもなった。でも大変だったことばかりじゃない。牛奥ノ雁ヶ原摺山では誰もいない山頂での食事は気持ちが良かったし、小金沢山で見た奥多摩の山並みや大蔵高丸で見た南アルプスは今でも強く印象に残っている。大菩薩連嶺ではいろいろな事を経験できたし、勉強にもなった。目標をもって山登りすることは、ただ登るよりも大きな充実感があって良いと思う。これからも目標をもって山に登っていきたい。

大蔵高丸からの展望写真