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伝動用チエンの強さに関する用語集

チエンに関する用語については、現在同じ意味のものでも色々な表現があり、また、表現が異なることにより意味の受け取り方も人により、また立場により異なりトラブルの原因になる可能性がある。
そこでチェーン工業会として、これらの用語の統一とその用語に対する意味について思想統一を図り、トラブルの防止に役立てるため取り敢えず今回はチエンの強さに関する用語集をまとめる事とした。    (日本チェーン工業会資料)

1.引張強さに関するもの

No. 用語 意味 対応英語
1. 引張強さ

*破断強度
*破断荷重

チエンを破談に至るまで引っ張った時の最大荷重



++試験方法++
図のように5リンク以上のチエンの両端を「つかみ装置」に取り付けチエンに捩れ、曲げなどの応力が生じないようにして、破断に至るまで徐々に引張り、その時の最大荷重を測定する。

注)1.つかみ装置の部分で破断した値は採用しない。
  2.つかみ装置は自由な動きができるものとする。


ultimate tensile strength
2. 平均引張強さ 工程を代表できる期間における引張試験結果の平均的な数値である。 average ultimate tensile strength
3. 最小引張強さ 工程を代表できる期間における引張試験結果を統計処理して決めた最小値である。
一般的には「平均値-4σ」に設定される。
(各メーカーの規格値に相当する。)
minimum ultimate tensile strength
4. 保証引張強さ 市場または特定ユーザーに対して商取引上、メーカーが保証する引り強さである。
一般的には最小引張強さであるが用途によりまたはその他の事情により別途設定する場合もある。
assured tensile strength
5. JIS引張強さ JISに定められた最小引張強さである。 JIS minimum ultimate tensile strength

2.チエンの疲れ強さに関するもの

No. 用語 意味 対応英語
1. S-N線図 疲れ試験により求められた夫々の繰返し数に対応する疲れ強さをプロットし、夫々の点を結んだ線。


++疲れ試験方法++
右図に示す平均荷重(Pm)と荷重振幅(Pa)の比(Pm/Pa)を1,2とするような繰返し荷重をチエンに加え夫々の繰返し回数における破壊確率50%の最大振幅荷重(2×Pa)
または最大荷重(Pmax=Pm+Pa)を求める。尚、疲れ試験は有効部分が5リンク以上のローラーチエンの両端を「つかみ装置」に取付け各リンクに曲げなど加わらないように所定の荷重をかけるものとする。


S-N diagram (stress endurance diagram)
2. 疲れ強さ

*疲労強度
*疲れ強度
*平均疲れ強さ

疲れ試験により求められた夫々の繰返し数における破壊確率50%の最大振幅荷重または最大荷重を夫々の繰返し数における疲れ強さという。
疲れ強さは、一般的にはS-N線図で表される
fatigue strength
3. 時間強さ 疲れ強さの内、S-N線図の傾斜部における疲れ強さをいう。
即ち繰返し数の変化により疲れ強さも変化する範囲を示す。
尚、時間強さを表示する場合末尾に繰返し数を( )をつけて表示する。
fatigue strength for limited cycles
4. 疲れ限度
疲れ強さの内S-N線図の水平部の疲れ強さをいう。
即ち繰返し数が更に増加しても疲れ強さが変わらない範囲(JISB1801では5×10の6乗以上)を指す。
fatigue strength
5. 最小疲れ強さ 疲れ試験結果を統計処理して決めた最小値である。
一般的には50%破壊確率値-3σを目安とする。
fatigue strength
6. 最小疲れ限度
7. 最大許容荷重
(張力)
チエンにかかる最大荷重(T)の許容限界をいう。
最大荷重(T)は一般的に次の式で求める。

T= チエンにかかる
作用荷重

使用係数
速度係数
× ×






なお「最大許容荷重」はチエンメーカー各社が自社製品の特性に応じて設定したもので、ほぼ最小疲れ限度に近いものである。
maximum allow able load
8. 耐久繰返し数 S-N線図の平行部の繰返し数であり疲れ限度を判定するときの繰返し数を示す。
(JISB1801では5×10の6乗としている。)
number of cycles at endurance